市民球場再生計画

5月29日
2010年5月29日付中国新聞「広島市民版」に元の広島市民球場跡地問題に関する記事が掲載されています。見出しは「旧球場跡地利用、近くイメージ図(を広島市が市民に公表)」「賛否交錯見えぬ行方」。
では記事内容を分かりやすく箇条書きにします。

1、広島市がイメージ図を近々、公表。合意形成を目指す。

2、跡地利用計画は、広島会議所の案と広島市がコンペで採用した案の折衷案を元に、09年1月に策定。賛成、反対の声を広島市が聞いて、イメージ図に反映させる。

3、4月末には市、経済界、旅行業者などの専門家で構成する「賑わい作り研究会」が提案書をまとめ「実現すれば新名所になる」(金井宏一郎広島商工会議所前副会頭)という。

4、商工会議所の大田哲也会頭も研究会の提案書を支持。

5、商店街関係では意見が様々。市中央部商店街振興組合連合会(本通りほかを指す)の望月利昭理事長は「アマ野球などでは集客に限界がある。球場解体ができず整備が遅れれば市中心部の客足はさらに落ち込む」。一方、本通り商店街の永井紙店、永井建二社長は「球場に愛着を持ち、活用したい人は多い。じっくり市民の意見を聞いてから…」と30日には解体に反対する市民らでアピール行事を開く。

6、スポーツ施設の整備を求める「オールフォーヒロシマ」の槙坪大介氏は「これまでの議論は不透明、イメージ図に対する市民の声を聞く場を早急に…」。

7、市議会は3月の定例会で解体費用を計上する予算を通しながら、元の広島市民球場を市民が利用する条例を廃止しない決定も下した。

8、広島市は「解体費が認められた以上、市民球場の利用を停止する廃止条例は必要との判断で6月10日の定例会に「市民合意形成とは切り離して」条例廃止案を再提出する。

9、カギを握るのは先の定例会では市民球場廃止条例に反対した市議会公明党。

以上について補足します。

1について。イメージ図は昨年11月の時点で「年内中に作る」と、広島市都市活性化局都心再開発部旧市民球場跡地担当者は話していました。なぜズレ込んだのでしょう?

イメージ図は、広島商工会議所案の柱である現商工会議所ビルの広島そごう寄りへの移設とともに広島市がコンペで決定した折り鶴ホールが軸となるはずでした。問題は折り鶴ホール。市のHPで見ても分かる通り、優秀案(最優秀案ではない)になった時「折り鶴を展示する」という「秋葉市長肝いりの機能」が盛り込まれていましたが、それが3月の広島市と市議会の話し合いの場でいきなり「折り鶴は展示しない」となったのです。

要するに「年度内」と言っておきながらそれができなかった理由は「折り鶴展示」に逆風を感じた広島市が水面下で調整し、「折り鶴を展示しない折り鶴ホール」(何なんでしょうか?)にさしかえるための時間が必要だったのです。

なお、「マル秘メモ」によると広島市の担当者が折り鶴ホール案(正式名は「平和記念堂」)をコンペに提案した都内の関係者を訪ね「折り鶴展示機能を取り下げるよう」注文した、となっています。

実はこの「折り鶴展示機能」。コンペを開催するにあたり、これまた広島市の担当者が同関係者を訪ね、「折り鶴展示機能を盛り込むよう」注文した、と「マル秘メモ」ではなっています。その真偽やいかに。再度、取材すれば分かることですが、これがもし本当なら完全な出来レース、となります。

そもそも跡地利用に関するプランを民間から募集した際、最優秀作品はゼロでした。これはまたの機会に説明しますが「折り鶴ホール」と別案の2案が「優秀作品」とされただけ。しかも目玉機能の折り鶴展示を放棄したとあっては本末転倒、これから広島市が公開するイメージ図は根本から考えなおす必要があるのです。

では今回は、最後に「折り鶴を展示じない折り鶴ホール」が初めて表に出た時の広島市と市議会のやりとりを紹介します。2から9についての補足は今後、当チャンネルで進めていきます。

3月9日に行われた広島市の予算特別委員会のやりとり。なお( )内は折り鶴クンのつぶやき、だと理解してください。

★碓氷芳雄議員 広島市の答弁では「市民の声を聞いて球場跡地活用計画を策定した」と言っているが、ハード面と同時に具体的にどんなイベントを行うのか。以前、そう質問した時もきちんとした返答はなかった。また市が示した案について先ほど来、市が繰り返す市民らの「合意形成」は得られているのか?球場を残したいという意見もある。球場という建物はカープのゲームがあったからこそ人が集まった。これから先、どうするのか?菓子博と言っているが、それは菓子博があるから25年度までに整備しないといけない、というのではなく、市が25年までに整備するからそういう話があればありがたい、よって使ってもらいたい、という話。
今まで着実に合意形成を積み上げたと言っているが市が思うほど積み上がっていないのでは?商工会議所で窓口を一本化とも言っているが、どういう意味か?

★旧市民球場跡地担当課長 商工会議所の一本化とは地元商店街などの窓口ということ。

★碓氷議員 商工会議所は市と市民らのやり取りをスルーするのか、調整するのか。

★同課長 商工会議所がまとめて市に伝える。その中で折り鶴ホール(そうだよ、折り鶴ホールって言ってくれてありがとう!)の位置をイベントの邪魔にならないよう、ずらしたり給排水管を整備する要望を受けたりした。

★碓氷議員 その折り鶴ホール。当初は折り鶴の保存、展示を目的としていたはずなのに昨日のこの委員会の中で「展示はない」と…。展示するのか?しないのか?

★同課長 民間業者自らが提案したもので昨年1月に「広島市と商工会議所の折衷案の」計画の中に位置づけられた約200平方メートルの施設。これは折り鶴を保存するのもではない。平和公園に集まる折り鶴を展示するものではないと“聞いている”。

★碓氷議員 では別の折り鶴か?

★都市活性化局長 折り鶴ホールの名称は折り鶴をモチーフとした建物ということ。中に鶴を折ったものを少し飾りたい。(何だ、飾るのやめるの、どっちなの!?)建物のモチーフが折り鶴。当初、事業者の中にその考えもあったが、今は保存施設ではない。アート中心のホールで折り鶴展示は考えていない。

★碓氷議員 ????それはおかしい。

★同局長 昨年1月30日の利用計画の中に保存機能はありません。展示機能があります、とはありました。展示とは折り鶴を飾ることだが、いろんな意見もあったので事業者の方も検討した。広島市に来る折り鶴を展示して見せる機能は持っていない、と事業者が言っている。(あなた方が言わせたのでは?)

★碓氷議員 もともと折り鶴展示施設と理解していた。私の記憶違い????「市民の合意形成が図られてない」ことを指摘するために折り鶴ホールのまさにその市民と市側の考えの違いを指摘しようとしたのに、折り鶴を展示しない???
じゃあ、イメージパースを市民に提示するというが、それからどうするのか?毎年、菓子博があるわけじゃない。パースを示し、どうやって賑わいを生みだすのか?

以下この日のやりとりを受けての当日、残しておいた「解説」

こうしたやりとりが延々と続くわけだが、それにしてもこのやりとり。広島市側が自ら「折り鶴ホール」との名称を口にしておき、その口で「折り鶴を展示、保存しない」とはどういうことか?

秋葉市長自らが、この民間業者の折り鶴ホール案を優秀作品として選んだ(選考委員会が選んだが、秋葉市長の意向が選考委員会で反映されたのは明白。コンペではNTT案の方が高い評価を得ていたのに議事録にない部分でいつの間にかNTT案と折り鶴ホール案が同着となり、ともに優秀案となって今に至る)際に、「呉のやまとミュージアムよりも多くの動員を折り鶴施設は可能にする」と言い切っていた。(やまとミュージアムはオープンから1年ちょっとで200万人を動員。しかし、それ以降、年間の動員数は減少。秋葉市長は市民球場をヤード跡地に移す独断をした際に市民球場跡地での「集客施設の年間150万人動員」を市民に約束)

その当時、広島市の関係者の間からでさえ「民間で整備するその折り鶴展示施設は当然、有料だろう。そうでなければ民間でやる意味がない。折り鶴で人が集まると本当に思っているのか」という声が上がっていた。

折り鶴展示施設以外は単なる広場で、そこでイベントをして賑わいを創出するという広島市のプラン。広島市内の公園がそうであるように、公園ではキャッチボールもサッカーボールを蹴ることもできない。また柵のない広場では入場料も取れない(もっとも公園に金を払う市民もいないが…)

秋葉市長はその後、元の市民球場の諸室を改築。旧日銀に飾ってあった折り鶴を以前の市民球場食堂などに持ち込み実際に展示を始めこと細かに指示を出した。

現地に出向き、担当者に「もっと入口の折り鶴展示の看板を増やせ」「ここはこう飾れ」などなど。シルバー人材センターより人を雇い、一日あたりの展示施設来訪者数その他のデータを集め、一冊のノートに記してきた。

夏の高校野球開催時は入場者のカウントがややこしくなるため正面入口を折り鶴見学者専用として、高校野球関係者のブーイングも浴びた。

そこまでやっておいて、「折り鶴展示は民間業者が言ってきたこと」とはどういうことなのか?

なお、2009年の夏休みのある日、3時間ほど同施設内にいたが来たのは小学生の女の子ふたりだけ。高校野球の応援に来た市民が正面階段を上がってくるのも一緒にカウントしてしまった、という笑えぬ冗談もあるほど。また、今回、あからさまに方針転換した理由として、例えば平和団体などの「折り鶴展示施設」への根強い反発があるはずで、そうしたことを市民にはっきりと示すことがこの問題の唯一の解決の筋道となるだろう。

秋葉市長の命を受け、平和大通りにほど近い広島市の施設などにビニール袋に詰め込まれた折り鶴がそれこそ何千、何万、何十万と「息が苦しいよう…」と言いながら?その出番を待っている?

国内外から平和の祈りを込めていろいろな立場の人が折っては送ってきてくれた折り鶴をどうすればいいのか?いろいろな案が出てきているが、そのままの形で保存する今の秋葉案を指示する者がいったいどれだけいるというのか?これこそ市民、識者などの英知を結集して「合意形成」すべき、この問題の最初のテーマである。

なお3月10日付中国新聞では「折り鶴ミュージアム整備検討」との見出しでここに出てきた折り鶴ホールとはまったく別ものの「ミュージアム構想」を広島市(秋葉市長)が持っていることを報じている。しかし、そんな「構想」よりも先決なのは “元の”折り鶴ホールを含めた基町・広島市民球場再生計画である。

なお、同特別委員会で最後に三宅正明議員が「助け舟」を出した。「元の市民球場敷地の地下に眠る貴重な文化財(広島城あと)の保存、調査」の実施に従い、現在、もつれにもつれている跡地整備計画を白紙に戻す、というのも一案だろう。

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